12/9 オシフィエンチムにて

 5:00頃だと思いますが、枕元にあるアラームがなりました。ボタンを押すと鳴り止み、乗務員に起きたことを知らせる仕組みのようです。電車運転士のワタシも普段、会社に宿泊して起こされる際はこの手の起床装置で起こされます。なんか仕事の延長だなぁ。上段の同志を叩いて起こし、下車準備のため床に立ちました。

 ベッドには日本の車両みたいなカーテンはありません。下段の青年も明らかに起こされたクチで、迷惑そうにこちらに背中を向けて横になっております。極力音を出さないよう配慮して準備をして、そっと扉を閉めて通路に出ました。同志いわく、この車両のトイレに共用シャワーがあって、夜中に使ったそうです。猛者ですねぇ。確認のため、写真のみ撮らさせていただきました。

 
トイレの中に・・・。  シャワーありました。

 5:37、定刻に列車はオシフィエンチム駅に到着しました。ここで降りたのは理由があります。これからあの【アウシュビッツ収容所】を見学に行きます。この地には【ビルケナウ収容所】もあり、ガイドブックには、アウシュビッツ第1、アウシュビッツ第2と紹介されているかもしれません。オシフィエンチム駅がこれら収容所の最寄り駅なのです。

 収容所は現在博物館となっており、ガイドをつけるツアーもありますが、我々は付けませんでした。そのかわりに、事前に映画【シンドラーのリスト】を見ることを宿題として、この旅に備えました。見学の予約はネットでも出来るので、一番早い7:00からの見学を予約しました。

 
メールで届いた見学の予約表。                   「働けば自由になる」の門。ARBEIT MACHT FRIEの「B」に注目。

 オシフィエンチムの駅から、アウシュビッツ第1収容所までは、徒歩で約20分かかりましたが。5:37分の到着時刻を考えれば7:00からという予約時間は無難な選択だと思います。予約表を手に入場門に並びましたが、係りの方から荷物は預けてくださいと指示がありましたので従いました。スーツケースはもちろん、ディパックもNGの徹底ぶりです。この理由はあとで述べますが、納得でした。

 見学を開始しました。展示物の説明がされておりますが、残念ながら日本語はありません。日本語のガイドブックは併設の書店で扱っておりましたので、1冊購入して施設を見学しました。このガイドブックが秀逸で、同志に言われるまで気付かなかったのですが、この博物館の唯一の日本人ガイドの方の翻訳と注記されておりました。確かに説明文に力がこもっております。

 
収容所の中です。                            各地から送られてきたのですね・・・。

 この後の展示物の説明とか感想については話を飛ばさせていただきます。なぜかというとこの手の博物館はどうだったという問いには、あなた自身が見て、そして感じてきてくださいとしか自分では言えないからであります。張り付けた写真から感じ取ってもらえたなら幸いです。

 先ほど少し触れた荷物の件だけ忠告しておきます。アウシュビッツとビルケナウの両収容所を見学したこの日の歩数は2万歩を越えていました。当時の施設が忠実に保存されており、足場の悪いところもありました。身軽な状態でじっくりと思いを馳せてもらいたいという、運営側の気持ちを感じとることが出来ました。特にアウシュビッツ第2と呼ばれるビルケナウ収容所はとてつもなく広い施設です。是非身軽でじっくりと見学していただきたいと、見学を終えた私からも付け加えさせていただきます。

  
ビルケナウ収容所。ここを貨車が通っていきました・・・。     監視小屋付きの貨車が今もありました。              現地購入のガイドブック。

 オシフィエンチム駅→アウシュビッツ収容所を往路は歩きましたが、すでに疲れはててしまいました。帰りの収容所→駅まではタクシーを使わせていただきました。物価の安い国なのでタクシーも場合によっては使う価値があります。約2kmの道のりで15ズロチ、日本円でおよそ450円です。しかも2人でなので1人分はその半分…。ありがたくタクシーを使わせていただきました。

  
オシフィエンチム駅に戻ってきました。      【レギオ】という種別の普通列車。         気分をかえて行きましょう。

 オシフィエンチムからカトヴィツェという街までレギオという名の普通列車で移動します。12:40、定刻に出発しました。かなり年期の入った車両に乗り込みました。こういう経験が出来るのも、海外【乗り鉄】の醍醐味であります。朝から何も食べていなかったので、駅前のコンビニで軽食を買い込んで車内でいただきました。気分を切り替えていきましょう。

 カトヴィツェには13:35、定刻に到着しました。カトヴィツェからは、ワルシャワまでは、ポーランドの都市間特急で約4時間です。レギオのキップはネット購入の対象外だったので、駅の窓口で購入しましたが、都市間特急はネットで購入できたため、乗り換えホームの確認をして待つことにしましたが、この列車なかなかやって来ません。ホーム上は寒風が当たりますので、階段を少しおりた風を避けられるところで待つことにします。約30分遅れて都市間特急はカトヴィツェ駅に到着しました。空港までの鉄道を除けば、この旅最後の【乗り鉄】が始まりました。

 車内はヨーロッパらしいという表現が合っているのかよく分かりませんが、8人定員のコンパートメントでありました。すでに3人が部屋でたたずんでおりました。会話もないのでそれぞれ他人のようです。私たちだけ大声でバカっ話をするわけにもいきません。この列車も【配慮】を強く意識しつつの旅となりました。途中の駅で1人が下車していくと、新たに2人の【他人】さんが乗車してきました。こうして【4他人+2知人】体制でワルシャワへとつき進みました。
 我々は通路側の向い合わせで、それぞれの隣は空席だったのは幸いしました。8人コンパートメントが定員乗車で隣に大男に座られてしまったらと想像してみてください(笑)。

 
ワルシャワ中央駅に到着。地下駅です。              8人コンパートメントから解放されました。


【PKP】ペー・カー・ペーの愛称で親しまれています。

 悶々とした空間のなか、列車は25分遅れて、ワルシャワ中央駅に到着しました。寒空ではありますが、シャバの空気を大きく吸い込みました。ナチスに壊滅的に壊されたワルシャワの街にはプラハのような西洋的な建物が見られず、近代的な高層ビルがそびえ立っています。本日宿泊の【ハンプトン・バイヒルトン・ワルシャワセンター】というホテルも高層ビルで、我々の部屋は9階でした。冷戦終結後にアメリカ資本で建てられた、近代的なホテルです。

 さて、何はともあれ、ワルシャワに着きました。明日は帰国です。旅の無事を祝うため、何か美味しいものでも食べに行きましょう。地球~も調べてみましたが、引かれる内容の店はありませんでした。
 今はネットの口コミで山ほど情報を集められる時代でありますので、それに倣いネットで探してみました。すると【Grand Kredens】という店が、かなりの評判のようです。ホテルからも徒歩圏で、ポーランド料理も食べられるそうなので、ここに決めてお邪魔することにしました。

 
お店発見。                       オシャレな店構えです。

 10分ちょっとかかりましたが、無事に店を発見しました。店構えがおしゃれです。2名用の席に案内されました。周りはパーティーの団体、家族連れなどさまざまな客でほぼ満席です。日本人の客もおられました。
 食べてみたかったのは【タルタル】という、牛肉の生肉料理です。日本では今はきつく制限されている料理ですよね?繁盛店の威信に期待して注文しました。あとはグリルドビーフを一皿頼み同志とシェアします。

  
1人前のグルルドビーフ。巨大です。       ポーランド名物料理のタルタルです。       かぶりつきます。

 タルタルが先にやって参りました。写真で見た通りの、生肉の中央に卵黄が乗った【ユッケ】状態です。ってかユッケです。卵黄を崩し、塩コショウを振って、皿に塗られたソースをちょっとつけて食べてみました。うん、やっぱりユッケです。
 やや遅れてグリルドビーフが超大盛りで来ました。一皿にしておいてよかったです。ナイフとフォークを駆使して、肉の塊を解体していきました。付け合わせにバスケットに入ったパンもテーブルに置かれましたが、料理に集中させてもらうことにしました。
 ワインの力も借りて、1:30程で料理を完食し、お店を出ました。お腹も大満足でホテルに帰ってまいりました。

  
私も頑張りました。                  お店のスタッフと。                  ごちそうさまでした。

 明日の便の出発は14:50です。チェックアウトは正午なので、同志と協議の結果【寝坊すんべ】ってことになりました。異論はありません。ではお休みなさい。

本日の買い物~

1.オシフィエンチム駅のトイレ2回分 4ポーランドズロチ
2.アウシュビッツ収容所内トイレ2回分 4ポーランドズロチ
3.ガイドブック1冊 15ポーランドズロチ
4.アウシュビッツ収容所→ビルケナウ収容所タクシー 15ポーランドズロチ
5.ビルケナウ収容所そばのカフェでコーヒー 2人で20ポーランドズロチ
6 アウシュビッツ収容所入口の荷物預かり所で荷物預け @4×4個 16ポーランドズロチ
7.アウシュビッツ収容所→オシフィエンチム駅タクシー 15ポーランドズロチ
8.オシフィエンチム駅のトイレ2回分 4ポーランドズロチ
9.オシフィエンチム駅前のコンビニでビールと軽食 2人で741円(クレジットカード)
10.カトヴィツェ駅売店で老眼鏡 397円(クレジットカード)
11.グランドクレデンスで食事とビール2杯、ワインフルボトル 2人で7,949円

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