11/12 ロッキー越え
夜中、列車はかなりの速度で走行しておりました。私の体感でわかる130km/hを超えていたと思われます。上下動が少し気になりましたが、体がどうやらコチラの時間に慣れてくれたようです。寝台幅が狭く寝返りの打てない上段に寝ましたが、とてもよく眠れました。シカゴと次の大都市デンバーとでは1時間時差が出るので、眠りにつく前にデンバー時刻にして休みました。
6:30頃、あと20分でデンバー着とのコールがありました。えっ!早いじゃん?定刻ではデンバー着は7:05です。夜行区間担当の運ちゃんが早くデンバーで交代したいから頑張っちゃったんでしょうか?日本では考えられませんが、この国ではありうるのかなってうがった考え方もしちゃいます。
高層ビルが見えてきました。大リーグ、コロラドロッキーズのクアーズフィールドも確認できました。デンバー駅が行き止まり線のため、スイッチバックの形でホームに入線しました。入れ替え作業に手間取り、ホームに乗客が降りれたのは結局7:15でした・・・。
デンバーの出発は8:15です。朝食にはいい時間帯ですが、車両の点検のため、6:30からやっていた食堂の営業は一旦打ち切り、デンバー発車後に再開と車内アナがありました。デンバー停車中は車内にいてもよし、駅構内のラウンジにいてもよしだったのですが、いつもの通り同志が爆睡中です。昨日のオマハからタバコを吸っていないのでそろそろキレて起きてくる頃なのですが・・・。
私が意地悪してデンバー発車直後に起こそうものなら暴動になりかねません・・・。
私も停車中なら、今のうちにシャワーと思ったのですが、残念ながら元の電源を落とされてしまったようです。部屋の明かりが消え、試しにトイレの水洗のフラッシュボタンを押してみたのですが「スカ」でした。知らず知らずにおしっこしていたら(更には大・・・)パニクッていたことでしょう。試してみてよかった!
念のためシャワーの栓をひねってみると、コチラはお湯が・・・。おっ貯まっていたお湯が冷めずに残っているようです。迷わずシャワーを使いました。狭い空間でしたが、揺れが無いのでなんとか洗い終えました。7:45には電源も復活し、うまいタイミングでドライヤーが使えました。7:50、しょうがないので同志を「たたき起こし」ました。8:15デンバー定発、いよいよロッキー越えです。
朝食を取りに食堂へ行きました。メニューの「egg」の文字を確認して、試しに目玉焼きをオーダーしてみましたが、「No・・・.」でした。どうやら「加熱」までの処理は車内で行っているようですが、「調理」するスタッフはいないようです。今回は出されたものを黙々と食べるしかないようです・・・。出されたeggはスクランブルエッグで、塩味がきいており、しょう油の出番はありませんでした。オムレツをオーダーすることも出来ましたが、オムレツならケチャップですよね・・・。
途中からご婦人がお一人相席となりました。デンバーからソルトレークシティまで行かれるそうで、握手と共にの自己紹介です。アメリカはこれがスタンダードなのかな?
決して英ぺ(今年引退した日本ハムファイターズの新庄選手が、NYメッツにいた頃、取材記者に対して「英ぺ、知らないの?英語ペラペラ・・・」って語っていたのを思い出したので使わせてもらいます。)ではない私たちに向かって、マシンガントークです。単語を慎重に聞き取ってそれを繋ぐと、なんとなく聞いている事が判ります。ただし、判らないことはハッキリ「判りません・・・。」って言った方がアチラの方も別の言葉で言ってくれたりして、それで解決した会話もありました。
このご婦人、モルモン教徒、50歳、バツイチ、職業は看護師、愛車はホンダシビック、家電はソニー、お気の毒ですが母親の天国へのお別れの立会いのために、故郷のソルトレークに向かうそうです・・・。
モルモン教って確か戒律の厳しい宗教ですよね。日本で活躍している著名人では、ケントデリカット、斉藤由貴さんあたりがそうでしたっけ?日本にも著名な方が信者でいますよって話をしました。
ご婦人、日本に興味シンシンです。日本語を教えてほしいというので、インチキ教師になりました。「ハロー→こんにちは」、「グッドナイト→おやすみなさい」、ここまでとても上手に発音されます。ちょっといたずら心が芽生え始めました・・・。「I’m sorry.」に該当する日本語は「すみません」ですよね?
この【すみません】を「ちょっとスミマセン」の意味にしてしまえと思ったのです。「アイムソリィ イズ、ジャパニーズ・・・ちょっと、ちょっと、ちょっと。」って今年ブレイクした双子コメディアンの【ザ・たっち】のネタで教えてしまいました。
ご婦人が、また上手に「チョット、チョット、チョット。」とやってくれました。申し訳ないので、「ゴメンナサイ、今のは日本のコメディアンのマネです。本当はご・め・ん・な・さ・いです。」って訂正しました。ご婦人、私の胸をドツキながらも大爆笑です!許してもらえたかな・・・。
インチキ教師、さすがに疲れました。ご婦人はコーチ車だったので、ご婦人の退席を待って我々も部屋に戻りました。同志は即ZZZ・・・、私、「こいつ・・・。」
せっかくのロッキー越えなのに寝やがりました!1人寂しくラウンジカーで景色を眺めつつ、レポートすることにします。
ラウンジカーはさすがに大盛況です。進行方向の右側の席が眺望がよく、そちらがうまっておりますが、カーブの角度によってはその逆もあり、私も含め、右へ左へ【民族大移動】状態が続いています。もっともアジア民族は私だけでしたが・・・。
閑散期のためか、車両の全長が短く、カーブを利用しての撮影がなかなかうまくいきません。きたない写真でスミマセン・・・。雪景色がこの時期の気候、そして標高の高さを物語っていますよね。
長いトンネルに入りました。分水嶺の【モファットトンネル】です。日本で言うと、上越国境の【清水トンネル】ですよね?演出を考えてなのか、天井灯が消されました。飛行機と一緒で各椅子の上に読書灯があるのでそれで対応します。私、初めはその存在に気が付かず、目の前が真っ暗になったので「しょうがねーな・・・。」って目をつぶっていたら、そのままZZZ・・・ってなってしまいました。
目の前がパッと明るくなりました。トンネルを抜けたようです。このへんは更に深い雪景色となり、歓声が上がりました。私も「おおッ」って思いましたが、冷静になるとこのシチュエーションは上越国境の【清水トンネル】の勝ちかなって思いました。
雪⇔トンネル⇔雪よりも、日本の地形独特の快晴⇔トンネル⇔豪雪の方が小説になるくらいインパクトがありますものね・・・。この車中の連中にあの景色を見せてやりたいなあってつくづく思いました。
12:30、ちっとも起きてこない同志を起こし、昼食に行きました。「腹へっていねーぞ」だとさ・・・。当たり前だ!絶景は部屋で見ていたと証言したけどホントかな??目が泳いでいたゾ・・・。
昼食は、私はピザ、同志はハンバーガーです。私のピザは、加熱自体はそれなりの方法があるみたいで、底がベタ付くとかもなく、味、食感とも「石焼風ピザ」で、それなりにおいしかったです。
同志のハンバーガーは、2年前のアムトラックでやはりおいしいと評価したハンバーガーですから、おいしかったのでしょう・・・。黙々と「完食」でした。おいしそうなんで、私も明日はこれにしよっ。
今回の食事は、紳士が相席されました。定年を迎え、デンバーを拠点に気ままな旅をしているそうです。妻には20年前に先立たれたとの事です。なんか皆さんいろいろ人生しょってますよね・・・。
この方は、サンフランシスコの良さをいろいろ紹介してくれました。カラ返事はいけないので、Oh!とかRealy?なんて相槌打っていましたが、実は7割くらいしか理解できていませんでした・・・。紳士さんゴメンナサイ・・・。
部屋に戻り、今度は私も同志に付き合い昼寝です。13:00まで寝ますと「間もなくグレンウッドスプリングです。」って車内アナがありました。駅到着の車内アナはイコール長時間停車でスモークタイムって事です。その放送がないときは、時刻表の停車駅に列車が停車しても、降ろしてくれませんのであしからず・・・。14:00、グレンウッドスプリングス着。
コロラドスプリングスって言えば耳にしたことがある方もいるのでは・・・?私の記憶では、マラソン選手がよく合宿するのがこの地ですよね・・・?
14:30、グレンウッドスプリング発、景色が一変してグランドキャニオンみたいな岩々の間を列車は走行します。併走する川は【コロラド川】だと思うのですが、この川が、長い年月をかけてこの大地を浸食し、今のこの景色になったのでしょう。写真でこの荒々しさが伝わりますでしょうか・・・?
こんな季節でも、ラフティングに興じている若者の連中がおり、そのうちの1人がズボンを降ろし、きれいなケツをこっちに向けて「バッチコーイ!」ってお尻ペンペンやってました。どこの国にもこういう方っているんですね・・・。
日が落ちる間際、ロッキー越えのしめとなる写真です。デジカメながらいい写真と思ったので紹介します。モファットトンネルの前後で、長時間にわたり、ここまで違う景色が楽しめるのはやはり広大なアメリカ大陸にまたがるロッキー山脈ならではの演出ですよね。充分に満喫させていただきました。19:30夕食。今夜はサーモンのステーキにしました。マイ醤油、大活躍です!
23:30ソルトレークシティ着。同志に付き合い、外の空気を吸いに行きました。大都市デンバーでなぜか携帯メールの送信が出来なかったので、久しぶりに妻へ順調な旨のメールを送りました。23:59ソルトレークシティ定発、気持ち悪いくらいここまで順調です・・・。
本日の買い物
朝食時のチップ〜2人で2ドル、昼食時にビール〜2本で8ドル、昼食時のチップ〜2人で4ドル、夕食時にビール2本&ワインハーフボトル1本〜16ドル、夕食時のチップ〜2人で5ドル
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