11/6 北極圏を超えて・・・
緯度が高いため、北欧のこの季節は夜もなかなか明けません。夕べのあんな時間に中途半端に寝てしまったため、私はもう寝つけませんでした。
明るくなったのは7:30頃、列車はボーデンという街に着きました。この駅でストックホルムから来た我々の車両と、別の街のルレオーから来た列車とをシャッフルするため30分ほど停車します。
アルファベットの「Y」で説明します。今いるボーデンは「Y」の中心部です。左上が目的地ナルヴィク。右上がルレオーです。下方から来た我々の列車は、ここでナルヴィクとルレオーと2方向に切り離します。食堂車の付いている車両はルレオー方面に行ってしまいました。
メシ食いっぱぐれ?と思いきや、ご心配なく。ルレオー発ナルヴィク行きの列車がちょうどこの時間にボーデンに着きます。そしてこの列車に食堂車が付いており、我々のナルヴィク行きに併結されました。連結のやり取り&客車の入れ替えのため、自分の乗っている車両が構内を行ったり来たりします。
同志はタバコのため、この様子をホームで見ていたのですが、最初はあせったみたいで「行っちまったかと思ったよ!」と興奮気味でした。ホームにいた同じ列車の車掌さんにゼスチュアで、「アッチ→コッチ→またここに来る。」
と説明があって納得したみたい。
すべての作業が終わり、7:59ボーデン発。列車は間もなく北極圏に突入です。
シャワーを浴びてすっきりしたところで、念願の(?)食堂車に朝食と取りに行きました。が私・・・イマイチ食欲がありません。前日の濃い酒をカラダに残してしまったみたいです。カフェテリアスタイルなので軽めにコーヒー、ハムサンド、チーズ、サラダを皿にのせてレジで精算しました。
部屋に戻り、12:00頃のアビスコまで私が上段で横になりました。イエリバーレ、キールナと北極圏を超えたハイライト的な区間なのに「恋人」に申し訳ないッス・・・。同志はタバコという嗜好のため、チャンスがあればその都度ホームに降りていたそうです。車内で吸えずチトお気の毒ですが、キールナが一番寒かったとのことです。そういえば、私も、ふと起きた景色の湖やホームの水溜りが結氷していたのは覚えています。
少し食欲が出てきたので、昼食をとりに行きました。食堂はけっこにぎわっています。車窓に氷河のツメ跡らしきものが出始めました。荒々しい光景にまわりの乗客の目もクギ付けです。この景色を食事でもしながらって感じなのでしょう。進行方向右側の席がいいとどこかで読んだ記憶があるので、迷わずそうしました。いつの間にかほとんどの人が右側に移っていました。
遠くに近くにフィヨルドの海が現れてきました。ノルウェーが近いみたいです。
国境の駅(客扱いはなく、乗務員の交替のみみたいです)を過ぎ小1時間ほどでヨーロッパ最北の駅ナルヴィクに到着しました。ロシアのムルマンスクが正式な世界最北の駅らしいのですが、アチラは軍港があるらしく、自由に訪れることの出来る駅としてこの駅を世界最北の駅と紹介している本もあるくらいの北の駅です。シベリア鉄道、アメリカ横断にも負けないくらい極めたーっていう実感に今、包まれています。
もっとも、北欧旅行でここまで来た方なら更にノールカップを目指すのでしょうけど・・・。線路がここまでなら我々は帰ります。とはいえもと来た道を戻るのじゃあツマラナイですよね。
オスロ方面からも北を目指しボーデ(ボードーと読む方もいます)まで線路が伸びています。ナルヴィクとボーデの間はバスで移動が出来ます。同志が「ゴールデンコースだ」なんてウマイ事を言ってました。スウェーデン側を最北の駅まで北上、バスで繋ぎノルウェー側をオスロまで南下、まさに北欧ゴールデンコースですね。
ナルヴィクを16:10発のボーデ行きバスがあります。このバスに乗るとボーデの手前のファウスケという街に21:20に着きます。ここからボーデ発トロンハイム行き夜行列車に乗り継げます。バスでボーデまで行っちゃうと、列車とすれ違う格好になってしまうので仕方ありませんね。
まずは先日心配していたバスターミナルを探さなければ・・・。「地球〜北欧」で見た記憶をたよりに、線路の先に見える街を目指し歩き始めました。街中までは10分ほどでたどり着きましたが、記憶もここまで。しばらくはアッチうろうろ、コッチうろうろしましたがまるで分かりません。
たまたま通りがかった交番で1回、それでも分からなかったので、ファストフード屋でもう1回、たどたどしい英語を駆使しました。親切な警察官、店の女のコの2つの教えをもとに、おおよその場所がつかめました。大きな橋のたもとにある、廃業したっぽいショッピングセンターの駐車場に隣接してバスターミナルがありました。とても目立ちませんので行かれる方は「地球〜北欧」をお忘れなく・・・。
1時間以上も探し回ってしまいましたが、実際はナルヴィク駅より徒歩15分くらいです。バスターミナルといっても隣接のショッピングセンターは開いてないし、待合室などありません。
15:00くらいですがさすが北欧、早くも暗くなってきました。寒いのでもう一度駅に戻り、暖を取ることにしました。言い遅れましたが、駅にはトイレ、待合室、食堂とひと通りそろっています。
我々の乗ってきた列車は15:45にストックホルムに向かって折り返して行きます。そのため駅も営業しており、乗客も20名ほどが待っています。うまい具合に便乗させてもらいました。15:35頃の列車への乗車を促す放送を合図に、我々も再びバスターミナルへ向かいました。
バスはもう着いていました。更に北のトロムソという街が始発ですでに数人が乗っています。このバス、ユーレイルパス所持者には割引があります。HPで調べた限りでは一人367ノルウェークローネとありましたが、実際は200NKで済みました。この割引はデカイです。パスホルダーの方は乗車時に運転手の提示の上、バス券を購入してくださいね。
16:10定刻にバスは出発しました。さよならナルヴィク・・・。21:20のファウスケまで長丁場ですが、バスはトイレ付き、コーヒーも自由に飲めてゴージャスな感じです。E−6という国道をひたすら南下するのですが、途中に大きなフィヨルドが横たわっておりその区間は船にバスをそのまま載せて渡ります。ちょっと面白そう・・・。
ナルヴィクを出てすぐのうちはまばらだった車内も、途中のバス停からの乗客でほぼ満席になってしまいました。満席のバスって空間は身動きが取りづらくかなりブルーですよね。前述のフィヨルドを渡る約25分と、あともう1回、計2回のミールストップで気を紛らわしました。
我々は前後にずれて窓側に座っていたのです。私のとなりに座った地元っぽいお兄ちゃんは怪しいアジア人がなんでこんなところに?って感じでずーっと私に背中向けてました。トホホ・・・。
きゅうくつの我慢が限界に近づいた頃、ほぼ定刻にファウスケ駅に到着しました。街中ではなくちゃんと駅に付けてくれるのでご安心下さい。バスからは2/3くらい下車しました。ほとんどが列車に乗りかえるみたいです。
21:40、ボーデ方面よりトロンハイム行きの夜行列車が到着しました。トロンハイムは7:40着。更に乗り換えてオスロ着は15:13です。トロンハイム行きなどと言わずオスロ行きだったらのんびり出来てよかったのですが・・・。
今宵の宿は2人用1等寝台車ですが、部屋の作りは中段がないだけで昨日の2等3人部屋とほぼ一緒です。上段の同志も今夜はきゅうくつな思いをしないで済みそうです。
シャワーは車端部に付いていましたが部屋にあったシャワールームのカードキーを差し込んでも開きませんでした。なぜ??明朝使うつもりなので、そのとき車掌さんにお願いすることにします。夕食はフィヨルドの船で済ませたし、することがありません。トロンハイム着の7:40もまだ暗いでしょう。寝るだけの列車になりそうです。食堂(ビストロ車)は朝6:00からの営業との事なので早々に今夜は眠らせてもらいます。
本日の買い物・・・レートは1ノルウェークローネ18円で計算しました。食堂車朝食(2人で85スウェーデンクローナ)、ファウスケ行きバス(2人で400NK)、フィヨルドのフェリーで夕食(2人で77NK)、ファウスケ駅でジュース,アイス各1個(計44NK)
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